ライフネット生命の代表取締役会長兼CEOの出口治明さんの本です。出口さんに興味を持っていたので、今回購入して読んでみました。
この本が伝えたいところは、「経験、年齢、性別、国際などを一切気にせず、仕事は得意な人やよく知っている人に任せよう」だと思います。
それが伝わってくるエピソードを本から紹介します。
「アホは、出口さんのほうです!」
2009年夏に、出口さんは20代の社員から企画の提案を受けます。その内容はこうでした。
・インターネットでのPR企画を考えている。
・デイリーポータルZのHさんが入るライフネット生命の保険プランを撮影中に選びます。
・出口さんは河川敷で、保険の受取金額(1000万円、2000万円、3000万円)を書いた皿を用意し、そこに豆を置いてください。
・ハトが豆を食べた皿に書かれていた金額の保険に、Hさんが加入します。
「おまえは、アホか!」
この企画の内容を聞いて、出口さんは怒ります。しかし、20代の社員は平然とこう言い返すのです。
「アホは、出口さんのほうです!」
20代に訴求するなら20代の視点で
20代の社員はこう続けました。
「そんな発想しかできないから、60代はダメなんです。出口さんは僕のことをふざけてるとか、アホだとか言いますけど、20代、30代がこの企画を見たら、こう考えるに決まっています。『こんなことにチャレンジする生命保険会社は、すごい』って・・・。この企画を見て、『こんなふざけた生命保険会社には任せられない。解約しよう』と思う20代、30代は絶対にいません」
20代の社員が力説する様子を見て、出口さんは彼の提案に乗ることにします。
そして、結果は大成功。
ネット上でライフネット生命を非難する書き込みはほとんど無く、好意的な書き込みがほとんどだったそうです。ホームページへのアクセスも増え、生命保険の申し込みも増加したとのこと。
(まさに20代、30代世代の私もライフネット生命に加入していますが、この企画はおもしろいと思いました 笑)
このときに60代の出口さんは痛感したそうです。
60代に、20代、30代の考えは「わからない」ということです。「60代は、20代も30代も経験してきているので、下の世代の考えがわかる」と思いがちですが、そんなことはなかったのです。
(中略)
ライフネット生命が「60代をターゲットにした会社」なのであれば、私のほうがいいアイデアが浮かんだでしょう。けれど、20代、30代に訴求するのであれば、20代、30代の社員に任せたほうがいい。
以降、出口さんは若い社員が提案した企画に従って、納豆を10万回混ぜたり、お笑い芸人のスギちゃんの格好をしたりと、いろんなことをやらされたそうです。
自分よりもずっと若い人からの提案で、かつ自分にはそれが理解できなかったとしても、部下を信頼してそれに乗るという出口さんはとても素敵なリーダーだと感じました。
これから自分のチームを作っていく人、ライフネット生命の裏側や出口さんについて知りたいという人におすすめの本です!