「まぁ好きではじめたツールですから」
最近はTwitterでほとんど話題にならないと口をこぼした。
まずはタスクリストの入念なチェックから始まる。
「やっぱり一番うれしいのは、見積もり時刻通りに仕事が終われた瞬間ね、TaskChute使っててよかったなと」
「毎日毎日、割り込みタスクもモチベーションも違う、ToDoリストではできない」
今日は同僚にTaskChuteを紹介する日。彼はTaskChute2とTaskChuteCloudを準備し、待ち合わせ場所に向かった。
基本的に使用の型は決まっているが、使うユーザーの嗜好に合わせ、その人に合ったTaskChuteと運用方法をいっしょに考えなければならないのが辛いところ、と彼は語る。
「やっぱマクロやクラウドが使えない職場はキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ。」
「この人のタスクリストはダメだ。ほら、すぐ仕事があふれてしまう。」
彼の目にかかれば、見るだけでタスクリストの出来不出来が分かってしまう。
タスク管理オタク、ここにあり。
今、一番の問題は後継者不足であるという。10年前はTwitterやブログで何人ものTaskChuteユーザーが発言していたものだが、今では彼一人になってしまった。
問題は、自分がしっくりくるTaskChuteの構築に、1年はかかると、匠は語る。
「最初はどうしてもタスクを詰め込みすぎてしまったり、今日必ずやること以外も登録してしまう」
「見積もり時間や、最適な周期を見つけ出すのにも時間がかかるが、爪を切るのに最適な周期がわかったら、自分だけでニヤニヤするんじゃなくてTwitterでシェアしたりしてね。みんなで作り上げていくのがいい。」
ここ数年は、洒落たタスクツールに押されていると言う。
「いや、ボクはまだ続けますよ。自分にとって最適な見積もり時間・周期を突き詰めたいし、何よりその情報を待っている人がいますから・・・」
「時々ね、わざわざメールやTwitterDMで連絡をくれる人もいるんですよ。AIがいくら進化したって、自分で手作りしたTaskChute、これだけは真似できないんですよ。」
2016年にメンタル不調となり、タスク管理そのものをすべて投げ出してしまったときは、このままずっとTaskChuteを触らないことも考えたという
「やっぱりあれですね。たいていの人はすぐやめちゃうんですよ。」
「見た目がとっつきにくいとか、いちいち入力するのが手間だとか…」
「でもそれを乗り越える人もたまにいますよ。」
「そういう人がこれからのTaskChute界を引っ張っていくと思うんですね。」
あなたにとって、TaskChuteとは・・・?
「うなぎのタレ、みたいなもんですかね。」
「継ぎ足し継ぎ足し使って、知らない間に手放せないものになって、いつしかそれを使った仕事ぶりがほかの人にも良い影響を与えるっていう」
サーモスにいれた熱いコーヒーをすすりながら、そんなことをてらいもなく語る彼の横顔は職人のそれであった。
今日も彼は、日が昇るよりも早くTaskChuteのタスク一覧をいじりだした。
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう
そう、TaskChute職人の朝は早い。